zakki2016
雑多なものの記録
12月29日
長距離相互作用のある1次元Ising模型の論文がPhysical Review Eに出版されました.
Y. Tomita: "Relaxational processes in the one-dimensional Ising model with long-range interactions",
Phys. Rev. E 94, 062142 (2016).
誘電体がどのように緩和していくかは, 誘電率の周波数依存性などから間接的に見えるけれども,
分極した個々の領域がどのように緩和していくかのミクロな視点からの理解はまだ得られてなくて,
それなら, 比較的単純なIsing模型の緩和過程から始めてみよう, と考えて始めたのが今回の論文です.
長距離相互作用が減衰する割合を調節することで, 相互作用が張る空間の有効次元を連続的に
変え, 緩和過程の次元依存性や相互作用依存性(今回は通常の強磁性相互作用と希釈系, スピン
グラスの3種類)を綺麗に出せるといいな, という目論見で研究を始めたのだけど, 実際に始めて
みると, 均一な格子上の液滴模型では単純だったIsing模型の緩和過程でも, 強弱入り混じる
長距離相互作用の影響で, これが意外に難しく, 当初の目論見とはやや外れたところに着地した
感じです.
相関のある領域の表面が系のダイナミクスを決めているのだけど, 長距離相互作用のある系では,
その表面が均一でなく, その結果, ダイナミクスも均一でないなくなるという, 分かってみれば
簡単なことかもしれないけど, 静的な性質という外面はいい1次元Ising模型でも, 動的な性質
という内面はあまり良くないという, 意外な一面が垣間見えて, それなりに面白い結果を得る
ことができました.
arXiv:1509.07227のversion 1では, Appendixにある$O(N)$法の記述が間違っているので気を
つけてください. version 2では修正されています.
11月26日
フィデル・カストロ議長が亡くなったと聞いて, 長いこと
忘れていた疑問を思い出した.
・カストロ議長
・カダフィ大佐
・ゴルバチョフ書記長
議長や大佐, 書記長がなぜ偉いのだろう.
カダフィ大佐についてはウィキペディアに載っていた.
いくつかの説があるようだが, 直接民主制を標榜しているため
原理的には国家元首は存在しないこと, ただのニックネーム,
などの意味があるようだ.
書記長については, генеральный секретарь (general secretary) なので
誤訳のような気がするのだけど, 直訳すれば事務総長なので, これをなぜ
書記長と訳したかがわからないと, 誤訳とは言い切れない悩ましさがある.
議長も調べてみたけどよくわからない. 日本語のウィキペディアには,
「議長」と書いてあるけれど, 英語のページには「President」と
書いてある. USのPresidentは大統領でキューバのPresidentは議長.
同じ役職についているはずなのに, 呼称が異なるのはなぜなんだろう.
カストロ議長の訃報でもう一つ思い出したのはPoderosa.
Windowsを使っていたときは, ターミナルとして使っていた.
どこかで読んだ記憶では, Poderosaという名前は, チェ・ゲバラが載っていた
バイクの名前に由来しているらしい. Poderosaは英語訳では"The Mighty One".
名前とは裏腹にオンボロなのが面白いところなんだろう.
"The Mighty One"で思い出したのは"All Might".
"might"には名詞で「力」という意味もあるけれど, "All Might"と
来ると, 素直には"the Almighty"(全能者)を連想するので,
「あれ"y"はどこに消えた?」と思ってしまう. 他にこの呼称を使って
いる人がいないので, 検索すると一発で出るのはメリットなのかな.
ネーミングという意味では, 最近受け取ったハガキにあった
"eat PARADISE"も首を傾げるネーミング. 「天国を食え」
と言われてもねぇ. たぶん意味的には"food paradise"
何だろうけど, それだとひねりがないので, ひねっちゃった
のかなぁ.
"Love trumps hate."についてはいろんなところで言われている
ので加えて言うことはないのだけれど, 気をつけていないと, 日本も
B層, D層の厚みが結構増してきていて, 選挙のタイミングによっては
日本も同じ道をたどるんじゃないかと考えています.
11月9日
BREXITの一件以来思うところがあって, 今こんな本を読んでいます.
待鳥聡史, "代議制民主主義 -「民意」と「政治家」を問い直す-"
薄い本だし, 非専門家向けに書かれている本なので, 多少の時間さえ
あればすぐに読めるのですが, その多少の時間がいま取れずにいます。。。
今日の一件もあるので, 優先順位を整理し直して, なんとかこの本を
読む時間を作ろうと考えています.
総務省の「選挙の意義」に書かれていることも, なかなか興味深いです.
> 民主政治の原則である多数決は、...
多数決で物を決められない理系人間には, とてもとても難しい問題です.
10月5日
今年のノーベル物理学賞は
> for theoretical discoveries of topological phase transitions and topological phases of matter
ということで, D. J. Thouless, F. D. M. Haldane, J. M. Kosterlitzの
3氏が受賞しました. ここのところ忙しくて, あまり遊んでいる時間は無いのですが,
とりあえず即興でKosterlitz-Thouless転移のgifアニメを作ってみました.
画像内の小さな三角形がスピンと呼ばれるもので, これが360°回転することができます.
大雑把に言えば方位磁針の磁石のようなものです. 小さな三角形の鋭角と色で磁針の向きを
表しています. このスピン(磁針)は隣り合うスピンと向きを揃えようとする性質を持って
いますが, 温度が高いときには熱ゆらぎの影響で, それぞれの磁針の向きはバラバラになって
います. 温度を下げていくと, 隣り合う磁針の向きが揃い始めますが, 場所によっては向きを
揃えることができず渦が生成されます. これが位相的欠陥(topological defect)と呼ばれる
もので, 図では赤の丸印(正の渦)と青の丸印(負の渦)で表しています. 正と負の渦は, 温度が
高いところでは自由に動きまわれますが, 温度を下げていくと, 正と負の渦は違いに引き付け合い,
結合し, 対生成と対消滅を行います. 渦が自由に動けている温度と結合している温度の境目が
Kosterlitz-Thouless転移温度と呼ばれる温度で, 水で言えば, 氷点(0°C)に相当します.
渦という位相的欠陥が相転移(水の例で言えば, 固相と液相間の相変化)に寄与することがあるという
こと(現在では, 研究者は当たり前のように知っていることですが)を最初に指摘・研究したのが,
今回のノーベル物理学賞を受賞した3氏ということです.
(Kosterlitz-Thouless転移は超伝導体や磁性薄膜などで見られます. 水の相転移はKosterlitz-
Thouless転移とは関係ありません)
私もまだ読めていませんが,
The Nobel Prize in Physics 2016(Popular Information)
The Nobel Prize in Physics 2016(Advanced Information)
のリンクを貼っておきます. Kosterlitz-Thouless転移温度の評価の世界記録は, 私の知っている
限りでは, 小村さんと岡部先生の記録で,
$\beta_{\mathrm{KT}} = 1.11996(6)\quad\Leftrightarrow\quad T_{\mathrm{KT}} = 0.89288(6)$
Y. Komura and Y. Okabe: "Large-Scale Monte Carlo Simulation of Two-Dimensional Classical XY Model Using Multiple GPUs",
J. Phys. Soc. Jpn. 81, 113001 (2012).
だと思います. ちなみに論文の計算アルゴリズムには私が博士課程の院生の時に開発した確率変動
アルゴリズムが使われています(ちょっと自慢). gifアニメの右のcolor barsは温度を表していて,
上端が1.5, 下端が0.0で, 温度は1.5から0.4の範囲で動かしています.
上のgifアニメの作成には,
EGGX/ProCALL
を使わせていただきました.
8月8日
いろいろと助けていただいたり,
「そいつぁは, あんまりな仕打ちじゃ御座いませんかぁ」
と, 涙がちょちょぎれるような非情な仕打ちを受けたり, 言いたいことは
山ほどあるのだが, ここで, 言いたいことを言ってしまうと偉い人に叱られ
そうなので, 原因と解決方法だけ記しておく.
原因はワンタイムパスワード・トークンの時刻同期ができていなかったこと.
時刻同期ができていなければ, パスワードとしての用は成さないわけで,
ログインできないわけである. 「時刻同期ができていない」ことに気づくまで
相当時間がかかったのは, 普通は時刻同期しているものだからなのであろうか.
何にしても, いろいろな不具合を疑った末, トークンの時刻同期で解決した
というお話. いろいろとお手数をお掛けした皆様に感謝.
8月6日
ふた月ほど前の話だけれども, このタイミングを逸するともう次はなさそうなので。。。
Text of President Obama's Speech in Hiroshima, Japan
USの大統領がヒロシマに来て核兵器について言及するだけでも大きな出来事だと思うの
だが, このスピーチから私が個人的に強く感じたことは, いまUSとその関係国が直面
している平和に対する脅威がこの70年で大きく変わったということ. 帝国主義的な侵略
戦争や東西の冷戦はひとまずはおさまっているように見え, 「みんなが考える平和」
> The first smile from our children in the morning. The gentle touch
> from a spouse over the kitchen table. The comforting embrace of a
> parent.
を求めるにはとてもいい時期のように思えるけど, 実際には世界の各地で問題を抱えて
いる国や地域がたくさんある. 生きるか死ぬかの時代, 生きるのに精一杯だった時代を
経て, 多くの人が生活の質向上を求めることのできる今の時代は, 一見良い時代のように
見える一方で, 多数ではないにしても, 生きるのに精一杯な人たち, セーフティネット
の届かない人たちもいる. 事態はそれほど深刻でないにしても, SNSなどで目にする
「このリア充め!」という嘲りは, 言った方も言われた方も本気にすることはないだろう
けど, 社会不安やテロリズムの根っこの部分は「このリア充め!」から来ているような
気がしないでもない.
老子が理想とした世界は「小国寡民」で, その真逆の世界が実現されている現在, まさ
しく老子が危惧した状況が生じているのは興味深い. 「大国衆民」の下で理想的な国家
や国家群の実現可能性について一考してみるのもまた一興だと思うのだがどうだろうか.
7月28日
朝の通勤の電車の中で, ジャージー姿の高校生と思しき学生たちがさいたま
スーパーアリーナに入っていくのを見かける. 今日はドラゴンクエスト
ライブスペクタルツアーの日. おそらくマーチングバンドとして参加する
市立柏高校の吹奏楽部の学生たちだったのだろう.
夏の高校野球の西東京代表が八王子高校に決まったらしい.
八王子高校で思い出したのは小川直也さん. 私が高校生だったとき, 小川が
教えに来るぞというので, 桐朋高校での周辺高の合同練習に参加したのだけれど,
肝心の小川選手は来なかった, という割とどうでもいい話を八王子高校の甲子園
初出場のニュースを機に思い出した. ちなみに翌年の目玉はたしか古賀稔彦さんで,
古賀さんからはあの独特の背負い投げを教わった. 柔道では, 組んだ瞬間に相手
の強さがある程度わかるようになるのだけど, 古賀さんと組んだときは他の人とは
比べようのないゴツさ(岩に柔道着を握られたような)を感じた. そう考えると,
小川さんが来なかったのはやはり残念か。。。
西八王子の駅から線路沿いを歩いて八王子高校の柔道場まで行ったのも懐かしいな.
ふと思い立って, 柔道部の恩師をGoogle検索してみると, 紋付袴姿で山伏に
囲まれていた. う〜む, なんなんだろう, これは。。。
7月25日
アマゾンで頼んだ本の発送がいつになく遅いので, 市川の倉庫周辺のポケストップ
を調べてみたら, 倉庫周辺にはポケストップがほとんどなかった. 倉庫がポケストップ
だらけだったらどうしようと思っていたのだが, まあ, お仕事する場所にそんなもの
置かないよね, と思ったら私の居室の目の前がポケストップだった.
「ポケストップやジムの削除をリクエスト」のプルダウンメニューに
・危険な場所に位置している
・位置が間違っている
・私有地
とあるのだが,
・危険な場所に位置している ⇒ 学生が単位を落としそうで危険(ある意味崖っぷち)
・位置が間違っている ⇒ 大学構内に設置することは正しい?
・私有地 ⇒ 私立大学ですから
と全ての項目に引っ掛かりそうだ. これは冗談にしても, 知らないうちに自分の家が
不特定多数の人が集まる場所になる不気味さはなんとなく実感することできた.
7月6日
今夜は七夕.
「明日じゃないの」と思われるかも知れないが, 7月6日の夜から7月7日の
早朝までが七夕の期間らしい. 「いや, 旧暦でやるのが正しい」という人も
いるかも知れない. 博士課程1年生のとき, 夏休みを使って台湾にひと月ほど
滞在した際には, ちょうど旧暦の7月7日にぶつかって, 情人節で浮かれムード
の台中の街(そのときは東海大学を訪問していた)を男3人でぶらぶらした記憶
がある. (情人は日本語で恋人の意味. 手紙, 湯, と並んで筆談で注意すべき
漢字の一つである)
私がまだ幼かった頃, 雨が降ったら織姫と彦星は会えないと習ったので,
いま調べなおしてみると, 地域性はあるものの, 雨が降ったら会えない
というのが大勢らしい. 「雨雲の上は晴れているのにね」と言うのは無粋
なんだろう.
無粋ついでに, 織姫星(こと座ベガ)と彦星(わし座アルタイル)の距離も
調べてみた. 人によって数字が異なるのだが, 科博調べでは16光年で,
二つの星の間のじっさいの距離は16光年になります。すなわち、宇宙で
いちばん速い光(秒速30万km)でさえも16年もかかる距離ですから、
一晩のうちに二つの星が近づいて会うわけにはいきません。
と, こちらも結構無粋なことを言っている. 「知る」という営みは,
ロマンであると同時に, 恋愛的な意味でのロマンからは遠ざかる行為
なのかも知れない. ふと, ノーベル賞のメダルと末摘花を同時に想い
起こしてしまった.
7月2日
サメの写真を見ていると, サメの口の中でヒモみたいなものが伸びている.
ある程度予想していたが, 調べてみるとやっぱり寄生生物で, カイアシが
寄生しているようだ.
サメの口の中が気になる人は他にもいたようで,
What are these parasites in this shark's mouth? (グロ注意)
なんてページも見つかった. Copepod(カイアシ)のページには, Ernst Haeckelの
描いたカイアシの絵もあるが, ぱっと見は浮遊性のカイアシしか描かれていないようだ.
寄生性のカイアシは, その形態を寄生に特化させているので, なかなかおぞましいお姿
をされていることが多い. 寄生方法の分類は,
魚類寄生性カイアシ類の寄生方法
で見ることができる. 寄生性カイアシの身近な例はイカリムシだろうか.
金魚を飼っていると, 金魚からヒョロヒョロした糸が生えることがあるが,
あれがイカリムシである. イカリムシが生える(寄生だけど)のは金魚だけ
でなくて, NHKのワイルドライフ「幻の巨大魚大集結の謎を追う」では,
大きなコクチイシナギを無数のアジが取り囲み, コクチイシナギにフッサ
フサに生えたイカリムシ(ペンネラ)と見られる寄生虫をアジが食べている
様子が放映されていた. 他にも, その名は知らなくても, ホタテの貝ヒモ
についているホタテエラカザリを見たことがある人も意外に多いのではない
かと思う.
カイアシは海の昆虫と言われるほど, 動物プランクトンの中で最も量が多く,
食物連鎖を支える大事な存在とのこと. 馴染みの薄いところにこんな巨大な
世界があるということを知り, 目からカイアシが落ちる気がした.
(目に寄生することも多いのです. "parasitic copepods" fish eyeで検索すると,
幾つか画像が見られます(グロ注意))
7月1日
トヨタのコースターを見て, これにジェットをつければジェットコースターかぁ, などと
くだらないことを考える. そういえば, 「コースター」ってなんだろう.
Oxford Learner's Dictionariesで調べると(芝浦工大はOEDの契約をしていないのだ)
> a ship that sails from port to port along a coast
とあって, 港から港へ海岸沿いに行く船のことであって, "coast"に由来していること
が分かった. グラスの下に敷くコースター. 船のコースターとは全く結びつかないけど,
"antique coaster"で検索して納得した. 底の浅い皿の形状をしていて, 沿岸を航行
する船の船底を思わせる. 船の場合には下が水で, 「コースター」の場合には上が水で
状況はまるっきり反対なのだが, たぶん形状から来ているのではないかと推測する.
底の浅い船と下敷きのコースターとはつながったが, まだジェットコースターとはつなが
らない. もう少し調べてみると, The Free Dictionaryに
> a small tray, sometimes on wheels, for holding a decanter, wine bottle, etc
とあった. これが何を指しているのか, すぐにはわからなかったのだが, "bar cart coaster"
で検索するとそれらしきものが出てきた. これ新幹線のワゴンサービスで来るワゴンだな,
って思ったら, coaster wagonという項目があった.
> a child's four-wheeled toy cart sometimes used for coasting
ということで, だいぶ近づいてきた. 最初の"a small tray"の方は, 底の浅いお盆の
ような形状が沿岸を行く船を連想させるのだろう. 事の順序は調べていないが, 車輪の
ついた板(台車とか)を見た子供は何を考えるだろうか. それはもう, 乗るしかないと思う.
100人子供がいたら105人は乗っているに違いない. それを見た大人は叱るか, 足の下に
履かせるか(これが後のローラースケートである), あるいは, 体ごと載せられるように
するか(これが後のtoy wagonである)であろう.
(適当なことを言っているので真に受けないように. 紀元前3500年にはすでにあったと
上の辞書にも書いてあるし...)
ともかくも, coaster wagonとジェットコースターとのつながりはすぐだろう.
そもそもcoaster wagonの説明に"for coasting"とあるし, 「滑り降りる乗り物」
から派生したのだろう. 「滑り降りる乗り物」に「ジェット」とは何事か, と思う
かも知れないが, 安心してください. 「ジェットコースター」は和製英語. 検索しないと
coaster wagonが何を指しているのか分からない人には奇異に聞こえない.
じゃあ, トヨタのコースターは?
検索して謎が解けたと思ったら, 謎が謎を呼ぶのである.
6月23日
日野川と高梁川に沿って走る伯備線.
分水嶺はどこだろうとずっと疑問に思ったまま放置していたのだけど, 今日は
車掌さんが車内アナウンスで教えてくれた. 上石見駅と新郷駅の間とのこと.
分水嶺を英語で言うとseparatrixだと思っていたのだけど, そうではないみたい.
おそらくは, 日本の誰かが理系の英語文献でseparatrixと書いてあるのを分水嶺と
訳して, それが定着している(いた?)のだろうけど, う〜ん, 起源が気になる.
6月22日
由志園でバンケット. 大根島初上陸. 庭園が素晴らしい.
雨を残念がっていた人もいたが, 薄暗く成り行く中で曇天を映す池や, その傍に
小気味よく茂る草木の緑もまた美しいものだと思う. 足立美術館の庭園も数年前に
拝見したが, これぐらいの庭園の規模の方が, 頭の中での庭園を再構築できるので
良いのではないだろうか. 庭園を頭の中で反芻するとき, 規模が大きすぎると手に
(頭に?)余る.
大根島の名産, 高麗人参の展示を見る. 英語ではGinsengということを知る.
海外からの参加者の発音を聞いていると中国語で「人参」と言っているように
聞こえなくもない. 中国語で人参はrén shēn. 人の発音はginではない.
日本語ではzinと読めるので, いろいろ混ざって「人参」と聞こえるようだ.
そもそも音読みのzinだって, 中国のどこからかやってきた発音に違いないから,
人参をGinsengと読むところがあったかもしれない.
石見神楽の演目は「大蛇(おろち)」. 諸説あるようだが, この辺は「たたら製鉄」
の地でもある. 「高志の国との諍い説」は置いておいて, 奥出雲の山川を制し,
天叢雲剣を手に入れる話として聞いてみた.
6月21日
少し時間を作って宍道湖の周りを散歩. 岩陰にたくさんのフナムシを見つけて驚く.
汽水域でもフナムシは生きられるのだな. 調べてみると, シンジコフナムシという
固有種もいるらしい. 見かけたフナムシがシンジコフナムシだったかどうかは不明.
6月19日
のぞみ17号に乗って出張. 講演スライドに手を入れていると,
気がついたら京都駅を出るところであった.
梅小路の鉄道博物館ではSLが煙を吐いている. 調べてみると, C56形 160号機とのこと.
新大阪駅では500 TYPE EVAとすれ違い. 大阪で昼から会議となると, 新大阪駅に着く
のはだいたいこの時間になるので, 目にする機会は意外と多い.
岡山からは伯備線. 雨に煙る山と川が美しい. 私は乗り鉄ではないが, 伯備線が家から
近かったらあるいは。。。, と思うぐらいこの車窓が好きである.
夕方からはシンポジウムのwelcome party. 抹茶をいただいて, 松江に来たのだなあ,
と実感. 亭主はもちろん不昧流の方であった.
6月9日
> 亜鉛とビジネスを衝突させ、113番の元素を合成。
その新元素の名は「ニホニウム(案)」
「24時間働けますか」ってことかな.
亜鉛は亜鉛で「元気の源」とかって言われているようだし。。。
6月7日
大宮駅で入換動車(OM-2かな?)に押されてC11形蒸気機関車が走って
いるのを見た. 番号はよく見えなかったけど, たぶん325番. 真岡鐵道
で動態保存されている車輌のようだ. なかなか珍しいものを見ることが
できて嬉しかったのだけど, 電車の中にいる周りの人たちは目の前をSLが
走っても至って無関心. 「濃ゆい講義に対する学生の反応」に通じる何かを
見たような気がした.
5月26日
もう何年も使っている電波時計. 電波の良さそうな場所に持って
行っても, これまで一度として電波を受信したことがなく, もう
完全に諦めていたが, 今しがた, 見たことのないマークが点いて
いたので, 説明書を引っ張り出して確認すると, 電波受信のマーク
とのこと. しかも受信状態は「最高」の状態. 標準電波の運用状況
を見に行っても, 特に最近何かをしたわけでないので, ちょっと不気味。。。
追記:見張っていたわけではないので正確なところは分からないけど,
「最高」だったの受信状態は1日ほどで未受信状態に逆戻り.
一瞬だけ完璧に受信してたのは一体なんだったのだろう。。。
5月22日
祖母の三回忌. 墓所の掃除をしていると赤くて小さなダニが墓所を囲む
コンクリートの上にたくさんいるのに気づく. この赤いダニ, 以前から
気になっていたのでネットで検索してみるとタカラダニという名のダニ
とのこと.
名前の由来は「セミに寄生している幼虫をセミが宝を抱えていると見な
した事に由来」とほぼどこもWikipediaをコピペしか見当たらない.
機会があったら複数の筋から確認したいと思う.
気になったのは「セミに寄生している幼虫」という箇所. セミは
よく覚えていないが, 昆虫の体に寄生しているダニはたまに見かける.
それで,
「タカラダニ 幼虫」
で検索(苦手な人には苦手な写真が出ます)すると, やはり昆虫に寄生
するダニと同一種のようだ. 別々に認識していたことが一つにつながって,
なんか嬉しい.
5月21日
3号館の壁に枯葉そっくりに擬態した蛾がへばりついていたので
調べてみると, ウスイロカギバという蛾のようだ.
見事な擬態なのだが, 如何せん, そこはコンクリの壁. 垂直な
壁に枯葉がへばりつく様は人間の目にはとても不自然なのだけど,
壁にとまっている蛾はなんとも思っていないのだろう.
以前学んだ工業暗化と虫の居場所の関係について思い出したので,
調べてみるとAlbert Brydges Farn(1842-1921)という人が
Charles Darwinに宛てて書いた手紙の中の一文だったようだ.
Wikipediaには,
> He (Farn) noted the existence of dark moths in peat in the New Forest,
> brown moths on clay and red soil in Herefordshire, and white moths on
> chalk cliffs in Lewes.
とあった. 私の記憶では, 蛾が自分の体色を知っていて, 自ら
とまる場所を選ぶと習ったのだけど, そういうことは書いていない
ようだ. もし蛾が自分の体色を認識できているとすると, それは
昆虫が鏡に映る自分の姿の認識ができる可能性も出てくるわけで,
考え直せば, それは(たぶん)有り得ない話.
自らの体色を意識して擬態しているといえば, カメレオンやタコ, イカ
などが挙げられる. ミミックオクトパスの擬態なんか見ていると, 自分
の姿がほぼ確実に自分の頭の中で描けているのだろうなと推測される.
高度な擬態をするタコやイカは鏡に映る自分を自分として認識できるの
だろうな, と思ったのだけど, 所さんの目がテン!で行った実験では,
タコは鏡に反応しなかったとのこと. ただ, 実験対象にしたタコが
いわゆる「タコ」だったからという可能性はあるので, 他の擬態を得意と
するタコで試してみたら面白いんじゃないかなと思う.
5月12日
電車が止まって, 今日は講義がなくて, 天気が良い, ということで自転車で
大学に来る. ほぼ毎回, 決まったコースを通るのだが, 家庭菜園に麦が植え
られているのに今日初めて気がついた. たぶんここ最近で麦の穂が出て, ただ
の草という認識から麦という認識に変化したのだろう.
家庭菜園で稲作をする人が少ないように, 麦を作る人もあまりいないよう
に思う. 調べたわけではないが, 農家の畑以外で麦を作っているのを見た
のは今日が初めてだ.
米や麦を家庭菜園で作る人が少ないのはどうしてだろう. 米はもちろん,
陸稲の方. 家庭菜園で田んぼを作ったら怒られそうだ. ネットで調べて
みると, 陸稲の種籾はたやすく手に入るみたい.
収穫した後の手間を考えると, 米や稲は, 脱穀と精米・製粉が大変そうだ.
(精米と製粉, 同じような響きなのに, 「せい」に当てている漢字が違うのに
いま気がついた. 精米はお米の精製, 製粉は麦を粉にするからなのだろう)
最近は米を玄米で買って, 自宅で精米する人もいるから, 精米機は簡単に
手に入りそうだが, 脱穀機(千歯扱きや唐箕に相当するもの)を家に用意する
のは難しそうだ. 麦は白いものを目指さず, 全粒粉であれば挽くだけだから
簡単かもしれない. そば打ちを趣味にしている人が増えてきているので,
そば挽き機で麦を挽けるのなら, それで代用するのもありかもしれない.
これまたネットで調べると, 一番粉, 二番粉や更科のそば粉が取れる自家用
そば挽き機は見当たらない. やっぱり, 自宅で気軽にできるのは全粒粉
もしくは挽きぐるみだけのようだ. ちなみにそば打ちをそば粉からやろうと
考えている人は用心した方がいい. そば蜂蜜を口にしたことがある人なら
分かると思うが, そばの花は結構臭い. 住宅地の中で栽培すればクレーム
必至なのでご注意を.
4月11日
樟や藤など, 例年5月ぐらいに咲く花がすでに咲き始めている.
5月は冷えるという兆候か, それとも単に暖かい日が続いている
だけなのか...
いずれにしても, データの外れ値には用心した方が良さそうだ.
4月9日
杉花粉もほぼ落ち着いてきたので, 久しぶりに自転車で大学に来る.
道中, 桜はもう見頃を過ぎていたが, 菊桃, 花蘇芳, 西洋石楠花など,
目に痛いぐらい発色の良いピンク色が飛び込んで来る.
花の色は, 晴天の日よりは, 曇天の日の方が良く見えるようだ.
たぶんこれは, 人間の目の仕組み(見え方に補正をかけているという
意味では脳)に由来するのだろう. しばらく前にドレスの色が
「白と金」か「青と黒」かで盛り上がったことがあった.
実際には「青と黒」だったのだが, 局所的な色の違いで言えば,
光の当て方の解釈次第で, どちらが正解であってもよかったようだ.
この話で思い出したのは「血管の青筋」.
昔, 私が小学生だったころ. 「血管の青筋」を私に見えたまんまの
灰色で描いたところ, 先生に青で描くように修正されたことがあった.
(ちなみにこの先生は美術の担当ではなかった)
子供心にも納得のいかない話で, 未だに覚えているぐらい根に持って
いるのだが, 一昨年ついに私が正しかったことが証明されたようだ.
立命館大学のNEWS
> 「青筋をたてて怒るは、正確には灰筋を立てて怒るになりますね」
だそうだけど, 当時の私に絵の修正をさせた先生には, 私の立てた
青筋が実際には灰色だったために見ることができなかったのだろう.
3月14日
高校から同窓会会報が送られてきた.
会報にはテキサス大学のペトロスキーさんの記事が掲載されており,
ペトロスキーさんが高校・大学の先輩であることに驚きを感じつつ,
記事を楽しく読ませていただいた.
ホフスタッターバタフライならぬバルタン星人型異常スペクトルの話を
伺ったのはいつだったか覚えていないが, その時に, バルタン星人を
持ち出してくるとは, 相当に親日な研究者だなあ, という印象を持った
ことはよく覚えている.
アメブロの登録名"texas-no-kumagusu"も紹介されていた. 少しページ
を覗かせていただくと, 子供の頃なりたかった職業が昆虫学者とのこと.
物理を生業としている人で, かつての昆虫好きは意外と多い. 私も子供の頃,
昆虫を採ってきては, 親に買ってもらった昆虫図鑑との突きあわせをし,
昆虫図鑑を韋編三絶, というか十絶ぐらいして, その後は綴じるのを諦める
ぐらいには昆虫好きだった. 最近はシャチホコガの幼虫を見てたじろぐ
ぐらいには"普通の大人"になった.
そういえば最近, こんな本をプレゼントされた. 図よりは, 図の脇に細かく
記されたメモ書きの方が面白いのだろうけども, 内容が専門的過ぎて読み取れ
ないでいる. とりあえず, 図を目で見て, 熊楠のメモに付された解説を
読み, おそらくは半裸の状態でこれらのメモを書いたであろう熊楠を想像して,
活字にはない生の息遣いを感じたつもりになって楽しんでいる.
2月29日
今日は閏日. 閏年を英語で言うと"Leap year".
なんで"Leap"なのか, 調べてみたらWikiに書いてあった.
The name "leap year" comes from the fact that while a fixed date in the
Gregorian calendar normally advances one day of the week from one year
to the next, the day of the week in the 12 months following the leap day
(from March 1 through February 28 of the following year) will advance two
days due to the extra day (thus "leaping over" one of the days in the week).
(上記はWikipediaからの引用. 要点となる箇所を太字で強調した)
平年は365日で, 7の剰余を取ると1になる(365 ≡ 1 (mod 7)).
つまり, 1年で曜日は1だけ進む.
閏年は366日で, 7の剰余を取ると2になる(366 ≡ 2 (mod 7)).
つまり, 1年で曜日は2だけ進む.
なので, 閏日の後は, その前年の同じ日から1日とばしで曜日が跳ぶ.
他の言語ではどうなのだろう.
Anno bisestile(イタリア語)
Año bisiesto(スペイン語)
Année bissextile(フランス語)
Високосный год(ロシア語)
Δίσεκτο έτος(ギリシア語)
でこれらは, ラテン語の"bis sextum"から来ている. "bis sextum"の
由来は上記のWikipediaのページに記載されているので, 興味のある人は
該当箇所を参照してください.
これがドイツ語になると,
Schaltjahr(ドイツ語)
で, いまドイツ語の辞書が手元にないので, 適当に検索した
結果から察するに, "切替年"という直訳になるのだろうか.
閏年のアルゴリズムに沿って, 平年と閏年が切り替わるから
"Schaltjahr"と名付けられているのだとすれば, いかにも
ドイツっぽくて面白い. ただし, これはちゃんと辞書を引いて
裏を取った話ではないのでデタラメな話の可能性が高い.
日本(漢字文化圏)に戻って, "閏"について調べると,
中国では暦からはみ出した閏日(閏月)には、王が門の中にとじこもり、
政務を執らないことに由来する。(語源由来辞典より)
とある. なぜ閏日には門の中に閉じこもって政務を執らないのか.
字源には,
餘分の月なり、五歲にして再び閏す、告朔(こくさく)の禮、天子は宗廟に居し、閏月には門中に居す、
王の門中に在るに従ふ、周禮に曰く、閏月には、王の門中に居ること、終月なり、と。
とあるので, 周の習わしから来ていのだろうけど, それ以上の
ことはわからない.
取り留めのない締まらない話に終始してしまったが, 最後にRubyによる
"Rectangle February Problem"の記事が面白かったので, この話を紹介
して締まらない話の〆にしようと思います.
2月20日
大宮駅で見慣れない車両が停まっていたので調べてみると,
グレードアップあずさ色の189系だったようだ.
撮り鉄のみなさんがたくさん写真を撮っていたけど, こういう普段と
異なる車両がいつどのようにどこの駅に来るっていう情報はどうやって
仕入れているのだろう.
2月17日
パンゲア大陸と呼ばれる一つの大きな大陸が, 対流するマントルに乗って
分離・移動し, 現在のような大陸の配置となったと説明するプレートテク
トニクス理論. その根拠は, 大西洋をはさんだ北アメリカ大陸・南アメリカ
大陸とヨーロッパ・アフリカ大陸の海岸線の相似, 両岸で発掘された古生物
の化石の一致にあるという. (wikipediaのページ)
この興味深い話を聞いた当日. 日本地図を眺めていた富田少年は, 一つ大変な
事実に気づいてしまった.
「渡島半島のでっぱりと陸奥湾のへこみがそっくりだ!」
そして, 残念なことに次のような疑問を持つことができなかった.
「渡島半島と青森県北部. どちらを上に剥がして, お互いを引き離したのかね?」
むかしは, 下北半島と津軽半島の間がもう少し, 開いていたのかも知れない...
2月13日
重力波直接観測成功の報らせが「世間」を賑わしている.
Physical Review Lettersに掲載された論文
B. P. Abbott et al.,
"Observation of Gravitational Waves from a Binary Black Hole Merger",
Phys. Rev. Lett. 116, 061102 (2016).
Nature NEWS
D. Castelvecchi and Alexandra Witze,
"Einstein's gravitational waves found at last".
括弧付きで「世間」と書いたのは, 今回の観測の結果とそれが
ノーベル賞級の成果という報道はされているのだけど, 報道の
調子がなんだか他人事を扱っているようで, 成果を喜んでいる
のは一部のオタクだけという印象がとても強いから.
実際のところ, 装置が何を検出したのか, なぜ今回のデータから
13億年前の36$M_{\odot}$($M_{\odot}$は太陽質量を表す)と29$M_{\odot}$のブラックホール
が衝突して62$M_{\odot}$のブラックホール(合体後の62という数字は, 36と
29を足した数に3足りないことに注意)になったことが分かったのか,
そもそも重力波って何, というのは, 直に一般相対性理論に触れて,
自分の手を動かしながら, 数学という言葉を用いた対話をしないと,
実感として湧かないだろうから, 一部のオタクだけが盛り上がって
いるというのは, 反応として正しいといえば正しいのだろう.
私自身, どれくらい理解しているかはとても怪しい.
実は, 今回のニュースでまだ確認できていないことが一つある.
重力波って、こんな音がするんだ (GIZMODO)
PCの音量調節ができなくなっていて, 音声を聞くことができなく
なっている. 下記のウェブページを見るとヘッドフォン端子を
使うと効果があるようなので, 手元にあるヘッドセットを使って
この雑記をアップしてから聞いてみようと思う.
音量調節ができません (Apple サポートコミュニティ)
2月9日
天気予報でしばしば耳にする「気圧の谷」という言葉. 気圧が谷状に
なっている場所を指した言葉なのだとなんとなく考えていたけど,
天気図上に気圧が谷状になって描かれているのを見たことがない,
とふと思った.
Wikipediaで「谷」を調べれば,
谷(たに、英語: Valley)とは、山や丘、尾根、山脈に挟まれた、周囲より
標高の低い箇所が細長く溝状に伸びた地形のことである。
とあって、これは誰もが納得する説明だろう. 一方本題の「気圧の谷」
の方は,
気圧の谷(きあつのたに、トラフ、trough)は、天気図上で低圧側から
高圧側に向かって窪んでいる地域、状態のことである。
ということで, valleyとtroughで英語では上記2つの「谷」は区別されて
いることに気づく. 「トラフ」というと, 南海トラフとか相模トラフとか,
地震の発生源となっているプレート境界を思い浮かべるが, 地形における
トラフとは
細長い海底盆地で, 深さが6000mより浅いもの。
なんだそうで, 「トラフ」という単語から私が勝手にイメージしていた
のは海溝(深さ6000mを超えるもの)の方だった.
で, 本来のトラフはというと, 「トラフ」の曖昧さ回避のためのページ
には, 第一に「細長い飼い葉桶」のこととあって, 他に「トラフ」が使われる
ものとして, 細長い桶状の線路収容材と言うのもある.
これらを見ると, 「気圧の"谷"」というよりは「気圧の"窪み"」とか
「気圧の"懸樋"」といった表現の方がしっくりする感じがする. 実際,
「気圧の谷」に湿った空気が流れ込んで雨を降らせるのだから"懸樋"って
すごくいい表現じゃないかと思うのだけど, どうだろうか.
1月30日
甲賀市が市民を対象に忍者の子孫を探しているというニュースを目にして,
前々から気になっていることを思い出した. 甲賀の地は東海道五十三次の
50番目の宿場, 水口宿にあたる場所なのだが, 失礼ながら, パッとしない
印象, というか印象すらないのが正直なところである. 隣接する日野町の
総人口が約2万人, 甲賀市の人口が約9万人で, 甲賀市の方が圧倒的なのに,
日野商人, 近江商人の町ということで日野町の方に馴染みがあるのはなぜ
なのだろうか. 戦国武将に興味がある人であれば, 蒲生氏(定秀, 賢秀, 氏郷)
が治めた地といえば, ますます日野町の方に親しみを感じることになる.
焼き物であれば信楽焼が有名で, 甲賀忍者の名は聞いたことのない人は
いないぐらいに有名だと思うのだが, 具体的に甲賀忍者の名を挙げよ,
と言われれば答えに窮し, 「ケムマキくん」の名前が出ればまだ良い方
ではないだろうか.
対する伊賀の方は, 「神君伊賀越え」の下りや, 天正伊賀の乱などで,
伊賀忍者と関連するメジャーなイベントが存在する. これは伊賀が交通の
要衝であったことが大きい. Wikipediaの伊賀市のページ「概要」には
次のように書かれている.
京都・奈良や伊勢を結ぶ奈良街道・伊賀街道・初瀬街道を有し、古来より都
(飛鳥、奈良、京都など)に隣接する地域として、また、交通の要衝として、
江戸時代には藤堂家の城下町や伊勢神宮への参宮者の宿場町として栄えてきた。...
対して, 甲賀市の方は,
全国的には信楽焼や甲賀忍者の地として知られる。...(中略)...
「こうか」は、古代にこの地方を治めた百済系豪族鹿深(かふか)氏に由来
すると言われている。...
という感じで, やはり印象が薄いのは否めない. 東海道新幹線が関ヶ原ルート
ではなく, 鈴鹿山脈を貫くルートを選んでいたら, また少し違ったのかも知れ
ないが, 何れにしても, 影の薄い甲賀の地で忍者が活躍した, というモヤモヤは
まだしばらく解決しないようだ.
ちなみに甲賀五十三家の筆頭格が信濃国佐久郡望月氏なので, 私に望月の血が
流れていることを考えると, 甲賀の印象が薄いという問題は, あまり他人事で
はないのかも知れない.
1月29日
いつかはコンピュータが囲碁のプロ棋士に勝つとは思っていたけど,
こんなに早く実現するとは思いもよらなかった.
ついにコンピューターが囲碁でプロ棋士に勝利、倒したのはGoogleの人工知能技術 (Gigazine)
D. Silver, et al.,
"Mastering the game of Go with deep neural networks and tree search",
Nature 529, 484 (2016).
論文の方はまだ読んでいない. ただ, 候補となる手の選択(論文中のFigure 5)
をパッと見ると, 人間らしい判定基準で次の手の選択をしているように見える.
試合の勝ち負けだけでなく, 難しい局面でニューラルネットワークがどのようにして
次の手を決めるのか, プロを負かす実力を備えたコンピュータ内で, そのプロセスを
追えるようになったことはとても意義深いことだと思う.
1月3日
復刊された「翔んで埼玉」を読む.
漫画が描かれたのが1980年ごろ. 埼京線運行開始が1985年だから, それより
少し前なのだな. 埼京線開通後なら, 池袋とかさいたま新都心とか, 他にも
いじり所があったように思う.
「ダ埼玉」, 「なぜか埼玉」など1980年代初頭には, そういった空気があった
のだろう. ビートたけしが, 西武線(新宿線か池袋線かは忘れた)のどの駅から
肥やし(たくわんだったかも)の匂いがするか, ふざけてクイズにしていたのも
この頃だったように記憶している.
元「多摩っ子」しては, 埼玉をdisるのは逆襲されかねない微妙にあるのだけど,
多摩に比べようもない埼玉のdisられぶりを見ると
「『埼玉』はみんなから愛されているのだな」
と感じざるを得ない. (とフォローしつつまとめてみた)
1月2日
実家に自分のものを置いたままでいるのは自立できていない者のすること
だと考えていたが, 私自身もダンボール一箱分とちょっとの荷物を残したままで
あることが判明した.
失くしたと思っていた本が出てきたのは嬉しかったが, 高校の学級だよりや
成績表には少なからぬ衝撃を受けた. 前言(2015年12月29日)撤回である.
高校卒業から少なからず成長していたようだ. 高校生の頃は, 本当に考えなしに
ぼーっと過ごしていたのだなあ, と強く感じることができた.
当時の自分に今の私が何かひとこと言えるとすれば「ドラッカーを読みなさい」と
言うだろう. 何というか「もう少し考えることをしなさい」と叱りつけたくなる
ような出土品の数々であった.
雑記(2015年)